まっとめ速報!んちゃっ

2チャンネルの人気や話題の記事をまとめてま~す^^

    カテゴリ: 長編創作

    1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:41:41.422 ID:8P33DePj0.net
    のび太(二次会の打合せの帰りにしずかちゃんの家の前なんて通るんじゃなかったなぁ…)

    のび太(さっきまでみんなで飲んで浮かれてたのにすっかり酔いが醒めちゃった)

    のび太(もう少し散歩して帰ろう)

    のび太(僕は今でも頼りないしいつまでたってもダメなままだなぁ)

    のび太(大人になったらもっとしっかりしてるものだと思ってたよ)

    のび太(結婚式の日も間違えるし僕って本当おっちょこちょいだしね)

    のび太(こんなので本当にしずかちゃんを幸せに出来るのかな)

    のび太「やっぱり…今日は星が綺麗だなぁ」
    4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:43:12.423 ID:8P33DePj0.net
    ジャイ子「あれ?のび太さん??」

    のび太「ジャイ子ちゃん。どうしたの?こんな時間に一人で」

    ジャイ子「わたしは漫画の原稿出しに行ってたの。のび太さんこそどうしたの?明日結婚式でしょ?」

    のび太「遅くまで大変だね。僕はジャイアン達と二次会の打合せの帰りでちょっと散歩してたんだ」

    ジャイ子「そうだったんだ。お兄ちゃんが迷惑かけなかった?」

    のび太「うん。歌は聞かされたけどねwそうだ夜に一人は危ないし送っていくよ」

    ジャイ子「あたしなんて襲う人いないから大丈夫よwのび太さんこそ結婚式なんだし早く帰りなよ?」

    のび太「・・・。」

    のび太「一人で帰らせたらジャイアンに怒られるし誰かと喋りたい気分なんだ。送らせてよ」

    ジャイ子「じゃあお言葉に甘えようかしら」

    のび太「うん。じゃあ送るよ」
    6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:46:11.736 ID:8P33DePj0.net
    のび太「・・・・・・・・・・」

    ジャイ子「・・・・・」

    のび太「・・・」

    ジャイ子「…。さっきから上ばっかり向いてどうしたの?」

    のび太「ううん別に何もないよ。いやえっとなんか今日は月が綺麗だと思ってね」

    ジャイ子「……。」

    のび太「・・・・・・・・・・・」

    ジャイ子「あっ!あの公園!懐かしいね。のび太さんちょっと公園でお話しない?」

    のび太「えっ?うん別にいいけど遅くなっちゃうよ」

    ジャイ子「いいのいいの。そこのベンチに座りましょ」

    のび太「うん」

    ジャイ子「そうだ。ちょっと待ってて」スタスタスタ
    7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:48:50.433 ID:8P33DePj0.net
    のび太「えっ?ジャイ子ちゃん!どこ行くんだよ。…でもこの公園懐かしいな」

    のび太「宿題で絵を描いたりみんなと遊んだりあの頃は楽しかったなぁ…」

    ピタッ。ヌクモリティ

    のび太「うわっ!あつっ!」

    ジャイ子「はい。あったかいミルクティ」

    のび太「びっくりしたなあもう。ありがとう」

    ジャイ子「うふふ。のび太さんって変わってないわね」

    のび太「えへへ…あはははは!こんなに素直に笑ったの久しぶりだよwww」

    ジャイ子「やっと笑顔になったわねw結婚式前なのに浮かない顔してたらしずかさんに嫌われるわよw」

    のび太「・・・。」
    8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:51:14.972 ID:8P33DePj0.net
    ジャイ子「…何かあったの?あたしで良かったら話聞くよ」

    のび太「…なんかさ。急に不安になっちゃったんだ」

    ジャイ子「そうなんだ。。。」

    のび太「僕っておっちょこちょいだし、だらしないし、忘れ物も多いし…」

    のび太「こんなんでしずかちゃんを幸せに出来るのかなって」

    ジャイ子「確かにそういう部分もあるけどそんなののび太さんの良さに比べたら些細な事よ」

    のび太「それにねタイミングも…悪いんだ…」

    のび太「さっきね。しずかちゃんの家の前散歩してた時に聞こえちゃったんだ。お嫁にいくのやめるって…」

    ジャイ子「・・・!?…それはほらあれよ。ちょっとマリッジブルーってやつよ」

    のび太「ははは。そうだと良いんだけどね」

    ジャイ子「・・・・・・・。」
    9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:52:52.037 ID:8P33DePj0.net
    のび太「・・・・・・・・」

    ジャイ子「元気…だしなよ」

    のび太「・・・・・」

    ジャイ子「でもちょっとつらいね」

    のび太「・・・」

    ジャイ子「泣いていいんだよ」

    のび太「・・・。…。うぅっ。」グスングスン

    ジャイ子「よしよし」ナデナデ

    のび太「うわぁぁぁぁあん」シクシク

    ジャイ子「・・・」テツナギーナデナデ
    10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:54:58.318 ID:8P33DePj0.net
    ―1時間後

    のび太「なんか…ごめんね。仕事で疲れてるのにこんな情けない姿見せちゃって」

    ジャイ子「気にしないで!ってもうこんな時間明日早いからそろそろ帰りましょ。送ってくれるんでしょ?」

    のび太「うん。遅くなっちゃったけどちゃんと家まで送るよ」

    ジャイ子「じゃあいこっか」テツナギー

    テクテク テクテク

    ジャイ子「そういえばあたしが漫画のモデルにしようとして追いかけまわした事もあったな〜w」

    のび太「あの時はジャイアンに誤解されて大変だったよw」

    ジャイ子「…。懐かしいね」

    ジャイ子「よくお兄ちゃんに追い掛け回されてのび太さんよく泣いてたもんねw」

    のび太「やめてよ恥ずかしいよw」
    11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 00:56:43.203 ID:8P33DePj0.net
    ジャイ子「でもさ…大人になったらさ。なんか泣く事も出来なくなるもんね。しんどい時もあるのにね…」

    のび太「・・・」

    のび太「そういえば最後に泣いたのはドラえもんが帰っちゃった時だったなぁ」

    ジャイ子「わたしはお兄ちゃんから聞かされただけだったなぁ」

    のび太「いっぱい冒険もしたしあの頃は本当に楽しかったよ」

    のび太「あいつどうしてるんだろ」

    ジャイ子「もうしんみりするのはおしまい!ドラえもんさんもきっと元気でやってるわよ」

    ジャイ子「そろそろシャキッとしなきゃ!のび太さんなら大丈夫よ!きっといい家族を作れるわ!」

    のび太「家族か…ジャイ子ちゃん…ありがとう。僕頑張ってみるよ」
    12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:02:09.823 ID:8P33DePj0.net
    ジャイ子「頑張りすぎないようにね!あっ。そろそろ着いちゃう」

    ジャイ子「ここでいいわ。家の前までだとお兄ちゃんに怒られそうだしねw」

    のび太「なんかスッキリしたよ。ありがとう」

    ジャイ子「…。ねえ見て!今日は本当に月が綺麗よ」

    のび太「えっ、うん。そうd…」

    チュッ

    ジャイ子「じゃあねバイバイ」

    のび太「バイバィ…ジャ…イ子ちゃ・・ん」ポカーン
    13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:03:19.873 ID:8P33DePj0.net
    のび太「はっ!僕も早く家に帰ろう」

    のび太(ドラえもんかぁ。そういや結婚前夜に行った事があったっけなぁ)

    のび太(すっかり忘れてたなぁ。確かしずかちゃんをお義父さんがが慰めてくれるんだっけ…)

    のび太(やっぱりあれは正直な気持ちだったんだろうな…)

    のび太(ダメだ!ダメだ!僕もしっかりしなきゃ!)

    のび太「ただいま」

    のびたまこ「おかえりなさい。随分遅かったじゃない。明日早いんだから早く寝なさいよ?」

    のび太「わかってるよ。今日はもう寝るよ」

    のび太「ママ。ありがとう。おやすみなさい」

    のびたまこ(のびちゃん…)

    のび太「さあ早く寝なきゃ明日遅刻したら大変だ」
    15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:04:49.995 ID:8P33DePj0.net
    のび太「・・・なんか眠れないや」

    のび太「そうだ!明日はドラえもんにも結婚式を祝ってもらおう!たしかアルバムに写真が…」

    のび太「うわあ!懐かしいなぁ。どの写真がいいかなぁ。あれもいいしこれもいいし」

    のび太「でも随分といっぱい写真撮ってたんだなぁ。これなんて来たばっかりの写真だ」

    のび太「元はと言えば僕の未来が散々だから来たんだったよなぁ…そう言えばあの写真はどこだっけ」

    のび太「確かそんな写真見たくなくて…そうだ偉い人の本に挟んだんだっけ。たしか近代日本文学作家の本に…おっと」パタン

    のび太「・・・・・・」
    16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:06:41.075 ID:8P33DePj0.net
    結婚式当日

    牧師「アーーーーーーメーーーーーン♪ミナサマドウゾご着席下サイ」

    のびたまこ「いよいよあの子が結婚するんですねぇ」グスングスン

    のびのび助「ああ。のび太も立派になったな」

    ジャイアン「スネオ写真いっぱい撮っとけよ!」

    スネオ「僕のこの最新式のカメラでバッチリ撮ってるから大丈夫だよ!」

    ジャイアン「それにしても出木杉の奴、式は呼ばれてなかったんだな」

    スネオ「まぁあいつは二次会のみでしょw」

    ジャイアン「おっ!牧師の話が終わったな!そろそろキッスか!?」

    スネオ「まずは誓いの言葉と指輪交換だよジャイアン」
    17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:12:09.326 ID:8P33DePj0.net
    牧師「新婦ミナモトシズカ、アナタはココにいるノビノビタさんを病める時も健やかなる時も……夫として愛し敬い慈しむ事を誓いマスカ?」

    しずか「…はい、誓います」

    牧師「新郎ノビノビタ、アナタはココにいるミナモトシズカさんを病める時も健やかなる時も……妻として愛し敬い慈しむ事を誓いマスカ?」

    のび太「………は…い、誓…いっま……。ちか…」

    しずか「??」

    ざわざわ…

    ジャイアン「おいおいwwwのび太緊張しすぎだろwwww」

    スネオ「ジャイアン!静かに!聞こえちゃうよ」

    牧師「コホン…誓いマスカ?」
    18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:14:15.135 ID:8P33DePj0.net
    のび太「誓い・・・・・・誓いません」

    しずか「のび・・・太さん?」

    ジャイアン「おい!のび太!何言ってんだよ!ふざけんな!」

    スネオ「のび太ぁ!お前何言ったかわかってるのか!」

    先生「ノビィ!?」

    のびのび助・のびたまこ「」

    しずかパパママ「あっ・・・あああああ!うああああああああああ!」

    のび太「ごめんしずかちゃん。ごめんみんな!やっぱり僕しずかちゃんとは結婚出来ない!」

    しずか「えっ…」

    ジャイアン「なんでだよ!てめえぶん殴ってやる!」

    スネオ「そうだぞ!当日になっていい加減な事言うな!そんな奴だとは思わなかったぞ!」

    先生「ノビィ!!」
    19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:16:35.635 ID:8P33DePj0.net
    のびのび助「のび太何言ってるんだ!考え直せ!」

    のびたまこ「のびちゃん!謝って!もう一度やり直して!」

    しずかパパママ「くぁwせdrftgyふじこlp」

    のび太「でも考えた結果なんだ。君にはもっといい人がいるよ本当ごめん」

    しずか「のび太さん、そのままでいいからそばにいて」

    のび太「違うんだ。僕、気づいたんだよ。償いはします。ごめんなさい」タッタッタッタッタッ

    しずか「のび太…さん…」

    ジャイアン「おい!どこ行くんだのび太!ギッタンギッタンにしてやる!」

    スネオ「待てよ!ジャイアン追いかけよう!」

    先生「のびぃ…」
    20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:18:21.333 ID:8P33DePj0.net
    タッタッタッタッタッ

    のび太「タクシー!とりあえず出して」

    運転手「…。えっはい。わかりました」

    のび太「ふぅ…」

    運転手「どうしたんですかお客さん?何か訳アリみたいですね?」

    のび太「うん。結婚式…抜け出してきちゃった」

    運転手「ええっ!?大変じゃないですか。何か理由でもあるんですか?」

    のび太「うん。やっぱり彼女は僕には合わないと思ってね。それに…」

    運転手「他に気になる相手でも?」

    のび太「多分そうなるかな。っともうこの辺でいいです。おいくらですか?」
    21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:20:35.739 ID:8P33DePj0.net
    運選手「おじいちゃんそれはダメだよ。おじいちゃんはおばあちゃんと結婚しなきゃ」

    のび太「えっ・・・??」

    セワシ「僕だよおじいちゃん」

    のび太「セワシ!?なんでここに!?」

    セワシ「僕の人生が変わる日だからね。タイムテレビで見てたらこんな事になったから急いで来たんだ」

    セワシ「昔からずっと結婚したかった相手じゃないか!なんでこんな事したんだよ!今からでも戻ってやり直してよ!」

    のび太「・・・」

    セワシ「おじいちゃんはこのままだとジャイ子と結婚して不幸になるんだよ?それでもいいの?」
    22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:22:20.251 ID:8P33DePj0.net
    のび太「僕ね。昨日色々考えたんだ。結婚式の日を間違えて、タクシー代も忘れて」

    セワシ「そんなの些細な事じゃないか!」

    のび太「迷い猫を見つけて二次会の打合せがあるのに家に届けに行ったり空港にまで渡しに行って」

    セワシ「それはおじいちゃんの良いところじゃないか!おばあちゃん達も一緒に行っただろ!」

    のび太「僕、気づいちゃったんだ。人間でも動物でも離れ離れは寂しいって」

    セワシ「何言ってるんだよ。無事に猫は飼い主に届けられたんだろ?じゃあ良かったじゃない!」

    のび太「うん。でもね。このままだと僕は6人の子供と離れ離れになっちゃうんだ」

    セワシ「別にその子達はジャイ子の子供として生まれて幸せになるから問題ないよ!」
    23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:24:25.714 ID:8P33DePj0.net
    のび太「僕は嫌なんだ!!!!!!!!」

    セワシ「!?」

    のび太「君はなんなんだよ!自分が貧乏だからって人の人生を変えてまで幸せになろうとして!」

    のび太「そりゃ僕だって最初は嫌だと思ったよ!でも僕は自分の足で歩いていきたいんだ!僕から子供を奪おうとしないでよ!」

    セワシ「・・・。」

    のび太「ドラえもんがいなくなってわかったんだよ。道具が無い人生でも僕を見てくれた人がいたことに。」

    のび太「それに君はまだ小学生じゃないか。まだこれからじゃないか」

    セワシ「でも貧乏は嫌なんだ」

    のび太「君は勘違いしてるんだ。道を選ぶということは、必ずしも歩きやすい安全な道を選ぶってことじゃないんだ」
    24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:27:04.887 ID:8P33DePj0.net
    セワシ「でもあの写真見ただろ!あんなの絶対不幸に決まってる!」

    のび太「この写真だろ。もう一度見なよ」

    セワシ「こんなに痩せて会社も焼けて借金取りにもおしかけられてこれのどこがいいんだよ!」

    のび太「君は本当に僕に似てるね。この写真をよく見てよ。ジャイ子ちゃんも僕も笑顔だろ?」

    セワシ「そんなのたまたま…」

    のび太「それにね君は他人みたいに言うけど僕は彼女の一言に救われたんだよ」

    のび太「だから一生彼女のそばにいたいし一生そばにいて欲しいんだ」

    のび太「一生離れないように一生懸命に頑張るよ」

    セワシ「…」
    25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:30:01.544 ID:8P33DePj0.net
    のび太「…セワシはパパとママは好きか?」

    セワシ「・・・・・・・」コクリ

    のび太「パパとママもきっとセワシの事が大好きだよ。そして僕もセワシのことが大好きだ」

    セワシ「でも僕には・・・」

    のび太「なあセワシ。目が前向きについてるのはなぜだと思う?」

    のび太「前へ前へと進むためだよ。ふりかえらないで常に明日を目指してがんばっていこうよ。僕は君たちを信じてる」

    セワシ「おじいちゃん…」

    のび太「じゃあ僕はそろそろ行くからね。今とても会いたい人がいるんだ」

    『ドラえもん のび太のもう一つの結婚前夜』

    おわり
    28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/17(日) 01:41:15.892 ID:88nXMp5fx.net
    たしかにのびたならそういう結論を出すかもしれないな

    1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:46:10.594 ID:RqgAPbDL0.net
     のび太「うわーん!ドラえもーん!!ジャイアンに勝てる道具出してぇ!!」

    ドラえもん「………」

    のび太「ドラえもん?」

    ドラえもん「の   び     」



    ドラえもん「zbjぃksんsbshxhxじfkdんdbjっしおあkm」
    2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:47:22.011 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「嘘だろドラえもん。また壊れちゃったの?」

    ドラえもん「いあいあkbdじdけかこ」

    のび太「叩けば直るかな。えい!えい!」ガン

    ドラえもん「ギギギギギギギギギ」
    ドラえもん「ハッ!!!ここは……!?」

    のび太「よかった、ドラえもん。ただいま」

    ドラえもん「あぁのび太。おかえり。どうしたの?」

    のび太「ジャイアンに勝てる道具出してよ」
    4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:48:03.989 ID:RqgAPbDL0.net
    次の日
    のび太「ただいまー」

    ドラえもん「えvjふぃっksんbdっk」

    のび太「またかぁ」

    のび太「おいしっかりしろ!ドラえもん」ガンガン

    ドラえもん「あbjじkdなんばjsk」
    ドラえもん「bjじkdkdんdべじゃいかんbdj↑いdけm」

    のび太「これはもうダメかもしれないなぁ」
    5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:48:32.753 ID:+jfNuNy30.net
    もっと叩け
    6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:48:35.795 ID:GR5Wsgh2d.net
    そろそろ買い替えどきかぁ
    7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:48:47.320 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「ハッ……ここは…!?」

    のび太「あ、ドラえもん。よかった。まだ大丈夫そうだね。」

    ドラえもん「え?なんのこと?」

    のび太「なんでもない。ドラえもん、あとでタイムテレビ貸してくれない?」

    ドラえもん「いいけど、何に使うんだい」

    のび太「ちょっとドラミちゃんと話したいことがあって」
    8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:49:50.209 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラミ「のび太さん、久しぶり。どうしたの?」

    のび太「実はさ、ドラえもんがまた故障しそうなんだよ」

    ドラミ「あら、そうなの……」

    のび太「それで、そろそろ新しいドラえもんが必要になると思うんだ」
    11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:50:59.889 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラミ「まぁ、そうね。お兄ちゃんの様子、今どう?」

    のび太「うん。今回は自分が壊れかけてることに気付いてないみたいだよ、ドラえもん。前みたいに暴れることは無いと思う」

    セワシ「オッケー、おじいちゃん。新しいドラえもんを用意しておくよ。ドラえもんのシャットダウンの方法は知ってるよね?」

    のび太「うん。しっぽを引っ張るんだよね。」

    セワシ「そうそう。故障したまま動かすと記憶装置がショートするかもしれないから一応やっておいてほしいな。その後もう一回連絡してくれたらすぐその時間にドラえもんを取りに行くからさ。」

    のび太「分かった。頼んだよ」
    12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:51:50.398 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「最近体の様子がおかしいな…どら焼きの食べすぎかしら」

    ドラえもん「どうも頭痛がするし、風邪だったりして。僕は高性能ロボットだからなぁ」
    28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:02:50.640 ID:ruymweYGr.net
    >>12
    かしらを使うのは通だな
    14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:52:24.164 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「ありがとうドラえもん。はいこれ、タイム電話」

    ドラえもん「あ、うん。ドラミと何話してたんだい?」

    のび太「なんでもないよ。ちょっとね。」

    ドラえもん「ふーん?怪しいなぁ」
    15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:53:03.836 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「ところでドラえもん。以前未来に体を修理しに行ったよね。その時のこと、覚えてる?」

    ドラえもん「うん、もちろん。あの時は焦ったなぁ。未来では…」

    ドラえもん「あれ、おかしいな。あんまり思い出せない。」

    のび太「そっか。まぁ、それならいいんだ」

    ドラえもん「……?」

    のび太「ちょっとトイレ行ってくる」
    16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:54:55.666 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「のび太、様子がおかしかったな」

    ドラえもん「前体を修理しにいった時のこと…?なんでだろ。思い出せないな。確かに行ったはずなのに。印象薄いようなことでもないはずなのになぁ」

    ドラえもん「思い出しトンカチ」テッテレー

    ドラえもん「なにか思い出したいことがあるとき、これで自分の頭を叩くと、そのことを思い出す」

    ドラえもん「よいしょ」ピコン
    17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:55:31.444 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「あれ。何も思い出せないぞ。故障かな。」


    ドラえもん「いや…これは記憶そのものがないのか…?」
    18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:56:33.767 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「妙だな。そんなはずはないんだけど。タイムテレビ」テッテレー

    ドラえもん「あの時、タイムマシンを乗った後の時間を見てみよう…」

    のび太「ドラえもん、何見てるの?」

    ドラえもん「あぁのび太。いや、妙なんだよ。体を直した時の記憶が無いような気がするんだ。その時のことをちょっと見て思い出そうかと思って」

    のび太「ふぅん。」
    21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:57:22.859 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「やめときなよ」

    ドラえもん「え?」

    のび太「そんな時のこと思い出したって、良い思い出じゃないんだからさ。忘れたままにしといた方がいいんじゃない。」

    ドラえもん「いやでも、これはそういう問題じゃないんだよ。記憶が欠落しているというか…」

    のび太「……」
    22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:58:15.521 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「そうだ。ドラえもん、どら焼き食べる?さっき一階にあったんだけど。一緒に食べない?」

    ドラえもん「え?いや今はいいや」

    のび太「そんなこと言わないでさ。食べようよ。ほらほら」

    ドラえもん「おいおい、のび太。さっきからおかしいぞ。どうしたんだよ。ぼくに何か隠し事でもあるのか」

    のび太「ううん。ないよ、そんなもの。」

    ドラえもん「まぁいいや。どら焼き食べようか」

    のび太「……」
    23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 17:59:09.019 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「落ちろ!!!!」ドンッ

    ドラえもん「!?」
    ゴロゴロゴロゴログシャッ


    のび太「……」
    25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:00:15.545 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「いたた…おいなんだよのび太!!なんのつもりだ!」

    のび太「駄目か」

    ドラえもん「え?」

    のび太「じゃあ仕方ない」

    ドラえもん「なんだいそのバット。何するつもりだい」
    26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:01:21.521 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「……」

    ガン‼︎
    ドラえもん「痛い!のび太!?やめろ!!」

    ガン‼︎
    ドラえもん「おいおいのび太」

    ガン‼︎
    ドラえもん「のb」

    ガン‼︎
    ドラえもん「」

    ガン‼︎
    ドラえもん「←djしあじゃbv↓ぃぃjwhsじゃ」
    30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:03:35.197 ID:wPL7GQZX0.net
    旧ドラえもんの声で再生される
    29 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:03:08.201 ID:RqgAPbDL0.net
    のび太「ふぅ」

    のび太「これでしっぽのスイッチを切ってと。これでよし」


    のび太「ドラミちゃーん。ドラえもんのスイッチ切ったよ。取りに来て」

    ドラミ「了解よ」
    31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:04:06.381 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「……」
    ドラえもん「……」
    ドラえもん「……ハッ…ここは…」

    セワシ「あれ、おかしいな。目覚めちゃったのかいドラえもん。」

    ドラえもん「セワシくん。ここはどこだい?未来?いやそれより、ぼくはなんで拘束されてるの」
    32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:05:15.391 ID:RqgAPbDL0.net
    セワシ「知らなくていいよ。ドラえもん、もう少し寝てなよ」

    ドラえもん「頭が酷く痛いんだけど。外してくれないか。ちょっと水が飲みたいな」

    セワシ「……」

    ドラえもん「おい無視するなよ。ここはどこなんだ。教えろよセワシくん。ぼくに何するつもりだ」


    セワシ「……」
    セワシ「ここはロボット廃棄場だよ。君は故障したから廃棄する。それだけだよ。」
    33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:06:58.450 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「なんだって?」

    セワシ「君はもう用済みなのさドラえもん。分かるだろ?君は働けないくらい故障したんだ。」

    ドラえもん「嘘だろ?ぼくがいなくなったらのび太はどうするんだ。君が僕を送り込んだんじゃないか。ぼくがいないとあいつは何もできない。元通りの駄目人間になるぞ」

    セワシ「君の代わりはいるよ。いや正確には君自身だ。君の健状態のコピーを取ってある。あとは記憶を移すだけ。ちなみに言うと、そのコピーも済んでる。あとは君が二人にならないよう、廃棄するんだ」

    ドラえもん「おかしいだろ。僕を修理してくれればいいじゃないか。なんでそんなことするんだ。僕は僕だ。僕はここにいる僕だけだぞ!」
    35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:08:58.544 ID:RqgAPbDL0.net
    セワシ「修理代は馬鹿にならないのさ。君を複製した方が早いし安い。フエルミラーの技術があるしね。」

    ドラえもん「お金の問題なのか?僕は。これでも一生懸命働いてきたつもりだぞ!そもそものび太にどう説明するつもりなんだ!?」

    セワシ「おじいちゃんは全部知ってるよ。それがドラえもんの為になるって言ったら簡単に信じちゃった。単純だよね本当。つまり君の教育が失敗してるんだけど」

    セワシ「そもそも、日頃からメンテナンスに行ってればこうはならなかったのに。メンテナンスを続ければ君たちロボットは僕らより長生きできるんだぞ。それを病院嫌いなもんだからサボって。全く、君のせいじゃないか。それに日頃から無茶しすぎなんだよ」
    37 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:11:50.564 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「……本当に廃棄するつもりなのか?」

    セワシ「そうだよ。もうすぐ君の番だ。おじいちゃんのことなら、安心しなよ。君の仕事は君が引き継ぐ。記憶は消された、君自身がね」

    ドラえもん「……。のび太に一言言っておいてくれないか」

    セワシ「何?」

    ドラえもん「君と友達になれて嬉しかったよって」

    セワシ「オッケー。わかった。じゃあもう眠りなよ。スイッチ切るよ。」
    セワシ「じゃあね。ドラえもん」
    39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:13:04.915 ID:RqgAPbDL0.net
    セワシ「おじいちゃん、ドラえもん、ここにおいとくね。しばらくしたら目が覚めるはずだよ」

    のび太「ありがとう。ドラえもんの調子はどう?直ったの?」

    セワシ「うん。しばらくは大丈夫のはずだよ。」

    セワシ「あ、言っとくけど、このことはドラえもんには言わない方がいいと思うな。ドラえもんにとっても辛い話だろうからさ」

    のび太「うん。わかったよ。ドラえもん、なんか言ってた?」

    セワシ「ううん。何も」
    40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:14:29.252 ID:RqgAPbDL0.net
    ドラえもん「あ、のび太。おはよう。寝てたみたい。」

    のび太「おはよう。調子はどうだい?」

    ドラえもん「え?そういえば、頭痛が無くなってるかな。よく寝たからかも」

    のび太「それはよかった。よかったなぁ」

    ドラえもん「? 変なやつ」
    41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:14:40.055 ID:RqgAPbDL0.net
    おしまい
    46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:17:28.474 ID:ruymweYGr.net
    セワシ怖い
    43 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:16:05.363 ID:9hwGOS8dd.net
    人間もそのうち魂をコピーして新しい肉体に移せるようになるんかな
    50 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/13(水) 18:29:35.859 ID:urG37X1P0.net
    アンパンマン「怖い話だなあ」

    1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:02:16.212 ID:S/sr4XX30.net
    第一話『俺は部屋に戻る!』



    女「あんた、死臭がするねえ」

    男「は?」

    女「死臭というか、負け犬臭というか、ろくな目にあわない臭というか……」

    男「なんなんだいきなり! 失礼な女だな!」

    女「あー、ごめんなさい。気を悪くしないでねぇ」

    男「道歩いてたらいきなり死臭だの負け犬だのいわれて気を悪くしない奴がいたらお目にかかりたいよ」
    2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:05:48.127 ID:S/sr4XX30.net
    女「ようするに、死亡フラグ立ってるってやつね」

    男「死亡フラグ?」

    女「“負けフラグ”とか“失敗フラグ”とか言い換えてもいいかもねえ。聞いたことあるでしょ?」

    男「聞いたことはある。漫画や小説で“登場人物がこういう行動をしたら死ぬ”みたいなお約束だよな」

    女「そそ。ようするに、あんたにはよからぬことが起こる予感がするのよぉ」

    男「そりゃ人間生きてりゃよからぬことの一つや二つぐらい……」

    女「だけど、あたしは常々思ってたの。
      死亡フラグだって正しく使えば、きっと人を助けられるんじゃないかって」

    男「無視かよ」

    女「そこで、あたしが作ったのはこの玉!」

    卓球ボールぐらいの白い玉を取り出す。
    3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:08:26.661 ID:S/sr4XX30.net
    男「なにこれ?」

    女「これは≪死亡フラグ玉≫っていってね。死亡フラグパワーを玉にしたものよ」

    男「意味が分からないんだが」

    女「これを持ってればあんたはもう安心! 死亡フラグはいかがですかぁ?」

    男「いや、いらないよ! まだ死にたくねえよ!
      死亡フラグの話をしてから、なんでこんなもん勧めてくるんだよ!」

    女「だからさっきもいったでしょ。あんたを助けるためよ」

    女「この玉を肌身離さず持ってなさい。そうしたら、いざという時破裂して、
      あんたを助けてくれる! ……かもしれないわぁ」

    男「…………」
    4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:11:23.197 ID:S/sr4XX30.net
    男「死亡フラグパワーだとか……バカバカしい」

    女「そうやって未知の力を軽視するのは立派な死亡フラグよねえ」

    男「あんたみたいな得体の知れない女に関わっちゃうのも死亡フラグだよな」

    女「ヒヒ、上手い返ししてくるわねえ。で、どうする? 欲しい?」

    男「…………」

    男は考える。
    女の話は意味不明で荒唐無稽だが、≪死亡フラグ玉≫の迫力がただならぬものであることも確かだった。

    男「分かった……受け取るよ」

    女「じゃ、一万円いただきまぁす」

    男「え、金取るの!?」
    6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:14:23.590 ID:S/sr4XX30.net
    女「そりゃそうでしょ。それにタダより高い物はないっていうわよ。
      タダでもらった未知のアイテムなんてかえって不安でしょ? 浦島太郎の玉手箱みたいでさ」

    男「一理はあるけど……」
     (こんなわけ分からん玉に一万か……)

    しばらく考えてから、

    男「分かった。買うよ」

    女「毎度ありぃ。なるべく肌身離さず持っててね」

    男「せっかく買ったんだしそうするよ。ああ、それと――」

    女「?」

    男「≪死亡フラグ玉≫ってあまりにもそのまんまだし、なんかダサくない?
      ≪フラグボール≫のがかっこよくない?」

    女「あたしのネーミングにケチつけないで! 大きなお世話よ!」
    7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:17:24.259 ID:S/sr4XX30.net
    ― 会社 ―

    後輩「婚活合宿? へえ、そんなのがあるんですか」

    男「ああ、登録してた結婚相談所の企画でな。
      コンピュータが選び出した男女3対3でペンションに一泊するんだ」

    後輩「楽しそう! だけどペンションなんて、ドラマだったら殺人事件でも起きそうな舞台ですよね」

    男「物騒なこというなよ」

    後輩「すみません。それはさておき、せっかくの合宿なんですからガツガツいった方がいいですよ。
       先輩妙にお人よしなところあるから……」

    男「分かってるよ」

    男(≪死亡フラグ玉≫なんて、わけの分からん物買っちゃうぐらいだしな)
    9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:20:37.066 ID:S/sr4XX30.net
    ― ペンション ―

    リビングには六人の男女がいた。

    男(“ガツガツ婚活だ!”と意気込んで来たはいいものの……)



    チャラ男「マジで〜?」

    ギャル「ウッソー!」

    金髪「バイト先の店長、殴ってやったぜ!」

    ミニスカ「かっこいい〜!」

    こんなノリで男女四人は延々と酒を飲んでいる。



    男(あぶれてしまった……)

    男(ていうか、どう考えても俺はあいつらと合わないだろ! なに考えてんだコンピュータ!)
    10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:23:41.600 ID:S/sr4XX30.net
    男(寂しいからってペンションの管理人と話そうにも、管理人は――)



    管理人『今日はちょっと街に用がありますので、私はペンションにおりません。
        それにそっちの方が色々と都合がよろしいでしょう』

    管理人『動物が入ってくることもありますので、くれぐれも戸締まりには気をつけて下さい』



    男(とかいって留守だし。他に進行役みたいな人間もいない。
      ようするに、この合宿って男女6人を一晩ペンションに閉じ込めてくんずほぐれつさせる……
      みたいなのが狙いなんだろうな。ったく、とんだ結婚相談所だ!)

    男(で、残る女一人はというと――)チラッ
    11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:26:42.027 ID:S/sr4XX30.net
    眼鏡女「…………」

    男(ずっと本読んでる。俺なんか眼中にないようだ。暗い印象はあるが綺麗ではある。
      後輩もガツガツいけっていってたし、ようし……)

    男「あの……ちょっとお話しでもしませんか?」

    眼鏡女「いえ、結構です」

    男「でも、せっかくこんな合宿に来たんだし、あなたも婚活してるんでしょ?
      もっとコミュニケーションした方が……」

    眼鏡女「私は別に婚活がしたいわけではありません」

    男「は……? どういうこと?」
    12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:29:46.462 ID:S/sr4XX30.net
    眼鏡女「私は作家志望でして。今度の作品は“婚活”をテーマにしようと思っているので
        体験を作品に生かすために、婚活とはどういうものか合宿に参加しただけのこと。
        別に本気で結婚するつもりはありません」

    男「はぁ」

    眼鏡女「というわけで、あなたと雑談を楽しむつもりはありません」

    男「そ、そうですか。失礼しました」

    男(婚活を題材にするのなら、それなりに本気で取り組まなきゃ意味ないと思うけど……
      いっても無駄だろうし、やめとこう)

    男(あーあ、俺もなんか本でも持ってくればよかった)

    男(あの死亡フラグ女の言うとおりだった。ろくな目にあわねえな、俺……)

    ふと、この合宿にも持ってきていた≪死亡フラグ玉≫に手をやる。
    13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:33:21.722 ID:S/sr4XX30.net
    時間は流れ……

    チャラ男「ちょっと小便行ってくるわ〜」

    金髪「トイレあっちだぞ?」

    チャラ男「せっかくだし大自然の中でやってくる」

    ギャル「ウケる〜!」

    ミニスカ「かっこいい〜!」

    男(バカ四人組はずーっとあんなノリで……)



    眼鏡女「…………」

    男(作家志望女はずーっと本読んでる)

    男(なんなの? なんなのこの空間?
      もし、後輩の言う通りここで殺人事件が起こるとしたら、犯人は俺だな。
      動機はこのわけ分からん空間に耐えられなくなったから。名探偵も呆れるだろうな)
    14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:36:18.782 ID:S/sr4XX30.net
    それからしばらくして――

    パァンッ!

    男「!」

    男(なんだ!? ≪死亡フラグ玉≫が弾けた!)

    すると――

    男「こんなところにいられるか! 俺は部屋に戻る!」

    大声でこう宣言すると、男の足は勝手に歩き出した。

    男(なんだこれ……どういうことなんだ!?)スタスタ

    四人組も作家志望女も一瞬驚いていたが、すぐ自分たちの世界に戻ってしまった。
    15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:36:51.065 ID:FPfC2ny7r.net
    何が起こるのやら
    16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:39:26.251 ID:S/sr4XX30.net
    スタスタ…

    男(どこ向かってるんだ俺は。こっちは俺の部屋じゃないけど――)

    スタスタ…

    男(なんだ、この部屋? 倉庫? いい匂いするから食料でも入ってるのかな。他の部屋よりも頑丈そうだ)

    スタスタ…

    男(お、俺の部屋だ)

    妙な回り道をしてから、自分の部屋にたどり着く。
    17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:42:23.030 ID:S/sr4XX30.net
    男(死亡フラグ玉は弾け、俺は部屋に戻ってしまった)

    男(たしかにミステリー物だとこうやって『部屋に戻る!』っていって戻った奴は
      後で死体になって発見されるよな……)

    男(これになんの意味が……?)

    男(ま、いいや。こうして部屋に戻ったわけだし、一人でのんびりしてよう)

    ふと窓の外を見る。

    男「…………!」

    男(熊じゃん……! 結構でかい……!)
    18 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:45:56.578 ID:S/sr4XX30.net
    まもなくリビングから悲鳴が上がる。

    キャァァァ… イヤァァァ… クマダー!

    男(おいおい、なんで入り込んで――)

    男(さっき小便しに外に出た奴がいたな! あいつがドア開けっぱなしにしてたのか!)

    男(かなりでかい熊だし、本格的に暴れられたらあいつらひとたまりもないだろうな。
      それどころか俺が狙われる危険性もある。そうなったらこの部屋のドアじゃ頼りない)

    男「あ、そうだ!」

    男はさっき見かけた倉庫に走る。

    バタンッ!

    男「ここは他の部屋より頑丈そうだし、あの熊も入ってこられないだろう。あーよかった……」

    男(これで俺だけ助かる……。ありがとう死亡フラグ……)
    20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:47:13.779 ID:F0El4V+N0.net
    他のやつ全滅じゃねえかwwww
    21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:48:34.529 ID:S/sr4XX30.net
    男「――って、やっぱりそういうわけにはいかないだろうがぁ!」
     (やっぱり俺ってお人よしだぁ!)

    男は倉庫に積まれた箱の一つを持ってリビングに駆けつける。

    熊「ガァァァァ……!」

    チャラ男「こっち来るなァ! 来るんじゃねェ!」

    熊に向かって、空き缶を投げるなどの儚い抵抗をする四人組。

    眼鏡女「…………」ガタガタ

    本を持って震えている眼鏡女。

    男(まだ全員無事だったか! よし、これを!)

    熊の近くに箱を投げつける。中に入った果実が床に散らばる。

    熊「ガァ……」

    男(熊の注意が果物に向いた!)
    22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:51:38.537 ID:S/sr4XX30.net
    男「みんな、こっちに来るんだ! そーっと、そーっと!」

    チャラ男「わ、分かったぁ!」

    四人組はどうにか移動を開始する。

    男「君も早く!」

    眼鏡女「ご、ごめんなさい……足がすくんでしまって……」

    男「!」

    眼鏡女「私はいいの……みんな逃げて……」

    男「バカいうな! 作家になるんだろ!? ほら、手を貸せ!」サッ

    眼鏡女「は、はいっ!」

    女を背負うと、男は熊を刺激しないよう倉庫に駆け込んだ。
    23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:54:38.370 ID:S/sr4XX30.net
    バタンッ! ガチャッ

    男「この倉庫なら……あの熊も壊して入ってくるのは無理だろう」

    男「スマホから警察に連絡する。これで後はどうにかなるはずだ」

    チャラ男「俺のせいで……みんなごめん……」

    金髪「助かったぁ……」

    ギャル「怖かったよぉ……」

    ミニスカ「絶対死ぬと思った……」

    男(こんな連中でもこういう時はしおらしくなるんだな)

    眼鏡女「…………」ギュッ

    男(ところでこの子、いつまで俺にひっついてるんだ……? まぁいいけどさ)
    24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 21:57:23.907 ID:S/sr4XX30.net
    やがて――

    管理人「皆さん、ご無事でよかった! 熊は射殺されましたのでもう大丈夫です!」

    管理人「それにしても、熊なんてここ数年見なかったのですが……」

    ワイワイ… ガヤガヤ…

    男「ふぅー、助かったね!」

    眼鏡女「…………」ギュッ

    男「もう大丈夫だよ。熊は退治されたから」

    眼鏡女「はい……」
    25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:01:11.713 ID:S/sr4XX30.net
    眼鏡女「ありがとうございました。あなたがいなきゃ、私は今頃熊の餌でした」

    男「作家を目指してるんだよね。いい作家になってくれよ」

    眼鏡女「……あ、あのっ!」

    男「ん?」

    眼鏡女「よかったら……また会ってくれませんか」

    男「…………」ドキッ
     (この子……こんなあどけない表情もできるのか……)

    男「ふぁい」

    かっこよく決めたつもりが気の抜けた返事になってしまった。
    26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:04:22.015 ID:S/sr4XX30.net
    ― 街 ―

    デートを楽しむ二人。

    男「新人賞取ったんだって? おめでとう!」

    眼鏡女「ありがとうございます」

    男「これで君も作家の仲間入りなわけだ」

    眼鏡女「まだまだこれからですよ。もっともっと精進します!」

    男(そういやこの辺りだったな。あの死亡フラグ女と会ったのは……)キョロキョロ

    眼鏡女「どうしました?」

    男「(いないか……)いや、なんでもない」



    女「…………」コソッ

    女「ヒヒ、よかったわねえ……」

    女「熊と安全地帯の存在に気づいたのはあたしの道具のおかげだけど、
      その後皆を助けて、あの子とくっついたのは紛れもなくあんたの力よぉ」

    女「やっぱりあんたはあたしが助ける価値のある男だったのね」
    27 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:06:30.721 ID:S/sr4XX30.net
    客「あの、なに一人でボソボソいってるんです? この白い玉の説明をして欲しいんですけど……」

    女「ああ、ごめんなさぁい」

    女「これはね、≪フラグボール≫っていう玉でね……」







    ― おわり ―
    30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:10:38.512 ID:S/sr4XX30.net
    第二話『勝率は99%です』



    パシャッ パシャシャッ パシャッ

    記者「今度の戦いはタイトルマッチ前の大事な前哨戦といったところですが、
       ご自身で考える勝率はいかがでしょう?」

    格闘家「俺と彼の実力は伯仲していますからね。五分五分といったところでしょうね」

    記者「なるほど、蓋を開けてみるまで分からないと」

    格闘家「そういうことです」
    32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:11:39.620 ID:/zcTzOYU0.net
    ワロタ
    あと何話あるんだ
    33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:13:13.246 ID:S/sr4XX30.net
    実況『あーっと判定負け! タイトルマッチに大きく影を落とす一戦となってしまいました!』

    解説『後半のラウンドで勝利への執念が足らなかったように思えます。残念ですねえ』

    ワァァァ… ザワザワ…

    格闘家「くそっ……!」



    観客A「またこれだ。強いことは強いけどいっつも肝心なとこで勝てないんだよな〜」

    観客B「こりゃタイトルマッチもダメだろ。チャンピオンは今日の相手より強いし」

    観客C「そろそろファンも見放すだろ、これじゃ」
    34 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:16:27.402 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家(あれだけ練習してるのに……どうして勝てないんだ、ちくしょう!)スタスタ

    女「あ、負け犬だ」

    格闘家「…………」ギロッ!

    女「こないだの試合見てたわよぉ。惜しかったわねえ。
      だけど競技の世界なんて結果が全てだし、惜しくても負けちゃあねえ」

    格闘家「なんだお前は……」

    女「次はタイトルマッチなんでしょ? だけど、いつもみたいに惜しいところで勝利を逃すでしょうねえ」

    格闘家「…………」ムカムカ

    女「ようするに死亡フラグ立ってるってやつぅ? ヒヒ」

    格闘家「このぉっ!」ブンッ

    女「あらよっと」ヒラリ

    格闘家「!」

    女「あたしが避けてくれてよかったわねえ。もし当たってたら格闘家生命終わってたわよぉ」

    格闘家「す、すまん……!」
    35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:19:32.004 ID:S/sr4XX30.net
    女「あたしはね、あんたみたいな死亡フラグ立ってる奴を死亡フラグで助けてあげるのが趣味なんだけど、
      これ買わない?」

    格闘家「この白い玉は……?」

    女「≪フラグボール≫っていって、死亡フラグパワーが込められたボールよぉ」

    女「これを肌身離さず持ってれば、いざという時破裂してあんたを助けてくれる。
      ……かもしれないわぁ」

    格闘家「いくら勝ちたくても、インチキするのは……」

    女「別にインチキじゃないわぁ。あんたが強くなるわけじゃないもの。
      ただ、あんたが実力を出せるようになるかもしれないけど」

    格闘家「実力を……?」

    結局、格闘家は一万円で≪フラグボール≫を購入してしまった。

    女「毎度ありぃ」
    36 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:22:35.550 ID:S/sr4XX30.net
    ― ジム ―

    格闘家「シュッ、シュッ、シッ!」

    バシッ! バシッ! バシィッ!

    トレーナー「分かってるだろうな。今度のタイトルマッチを逃したら、
          多分お前はファンから見捨てられるし、こんなカード組んでもらえなくなる」

    格闘家「……シッ!」バスッ

    トレーナー「つまりラストチャンスだ。心してかかれよ」

    格闘家「分かってますよ!」バスッ

    格闘家(練習はしてる。才能だってあるはず。なのにいつもいつもでかい試合は落とす。
        なんでだ……なんでなんだ……!)

    バシィッ!
    37 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:25:37.631 ID:S/sr4XX30.net
    タイトルマッチ直前、記者会見が開かれる。

    パシャッ パシャシャッ パシャッ

    記者「いよいよタイトルマッチですね。意気込みをお願いします」

    格闘家「やっと掴んだチャンスです。これがラストチャンスのつもりで臨みます」

    記者「しかし、先日の戦いでは惜しくも判定で負けてしまい、
       その敗北を引きずってるのではという声もありますが、いかがでしょう?」

    格闘家「そんなことはありません。すでに気持ちは切り替えています」

    記者「今回の戦い、ずばり勝率はいかがでしょう?」

    格闘家「そうですね。相手が相手ですし、やはり五分――」

    パァンッ!

    格闘家「!?」

    格闘家(≪フラグボール≫が……破裂した!?)
    38 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:28:08.602 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家「勝率は……99%です」

    ザワッ……

    ザワザワ… ドヨドヨ…

    格闘家(あれ、口が勝手に!?)

    記者「いつになく強気な発言ですね!」

    格闘家(五分五分っていおうとしたのになんで……!)

    記者「明日の一面記事は、『格闘家、勝率99%宣言!』でいかせていただきますよ!」

    格闘家(待ってくれ、なんで……!)
    39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:30:31.929 ID:S/sr4XX30.net
    ― ジム ―

    格闘家「はぁ……」

    格闘家(なんで俺はあんなことを口走っちゃったんだ! 勝率99%だなんて……!
        これで負けたら大恥じゃないか!)

    格闘家(こういうでかいこという奴はだいたい負けるもんだろうが! それこそ死亡フラグ――)ハッ

    格闘家(あれか! あの≪フラグボール≫が俺にそう言わせたのか!)

    格闘家(くそっ、あんなもん買うんじゃなかった……!)

    格闘家「くそっ! くそっ! くそぉぉぉぉぉっ!」

    ドカッ! バスッ! ドカッ!

    がむしゃらにトレーニングする。



    試合が始まる――
    40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:33:27.715 ID:S/sr4XX30.net
    ― リング ―

    ワァァァァ… ワァァァァ…

    実況『リング中央で向き合うチャンピオンと挑戦者、まもなくゴングです!』

    カァーンッ!

    格闘家「せやっ!」

    チャンプ「シッ!」

    バシッ! ドカカッ! ガッ!

    互角の攻防。チャンピオンは流石だが、格闘家も決して劣ってはいない。

    トレーナー(今のところいい流れだ……あいつはトップに立てる実力を備えてるんだ!
          だが、いつも勝負どころになると――)
    41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:36:16.967 ID:S/sr4XX30.net
    ドカッ! ガッ!

    格闘家(ぐ……!)

    チャンプ「シッ、シッ!」

    チャンピオンの猛攻。徐々に格闘家が防戦一方になっていく。

    格闘家(なんて激しい攻撃だ……。勝てないかもしれない……)

    トレーナー(また悪い癖が出てきた!)

    トレーナー(いつも肝心なところで弱気になってしまい、勝機を逃してしまう!)
    43 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:39:21.329 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家(明日のスポーツ新聞一面が見える――)

    『貫録の王者! 挑戦者惨敗!』

    『口だけ男“勝率99%”でKO負け!』

    『格闘家、ラストチャンス逃す!』

    格闘家(あーあ、勝率99%なんていわなきゃよかった……。
        いつも通り五分五分っていっておけば……こんなことにならずに済んだのに……)

    格闘家(いつも通り、冷静に戦力分析してれば……)

    格闘家(いや……本当にそうだったか?)

    格闘家(俺は本当に……)

    格闘家(違うッ!)
    44 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:43:45.157 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家(俺は手強い奴と戦う時はいつもいつも“勝率は五分五分”と口にしてた。なぜなら――)

    格闘家(負けた時大口を批判されずに済むから)

    格闘家(ファンにも言い訳できるから)

    格闘家(そしてなにより――“五分五分だったししょうがない”と自分自身を慰められるから!)

    格闘家(ハハ……戦う前から保険をかけてるような奴が、人生を賭けてる連中に敵うわけないじゃないか……)

    格闘家(だけど今は違う! 俺は“勝率99%”っていっちまった!)

    格闘家(俺は……勝つッ!)

    ドゴンッ!

    チャンプ「!?」

    実況『おおっと、防御を固めていた挑戦者、鋭い一撃を返した!』
    45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:46:21.143 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家(俺はもう保険をかけない……。“五分五分”なんて言葉には逃げない!
        これは99%勝つ戦いだ……だけど1%負けるかもしれない……)

    格闘家(1%ぐらい……俺の実力でねじ伏せてやるッ!)ダッ!

    チャンプ「なっ!?」

    格闘家「うおおおおおおおおおっ!」

    ドゴッ! バキッ! バスッ! ドッ! ドゴッ!

    実況『す、凄まじい……! 凄まじい殴り合いです!』

    解説『格闘家の形相がいつもとは違いますねえ。
       いつもはどこか諦めたような表情で戦っているのですが、今日は違います』

    トレーナー(これだよ……。俺はずっとこいつの“これ”を見たかったんだ!)

    トレーナー「行けーッ!」

    ワアァァァァァ……!
    46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:49:40.625 ID:S/sr4XX30.net
    格闘家「ハァ、ハァ、ハァ……」

    チャンプ「ふぅ、ふぅ、ふぅ……」

    審判『勝者……格闘家!』

    ワアァァァァァ……!

    実況『激戦! まさしく激戦でした! 判定の結果、格闘家が新チャンピオンに輝きました!』

    解説『挑戦者が押してましたからね。文句のない判定です。
       無冠の帝王がついに冠をつける時が来ましたね』

    チャンプ「負けたが……悔いはない。楽しかったよ」

    格闘家「こっちこそ……楽しかったです。またやりましょう!」

    ガシッ!
    47 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:51:51.763 ID:FPfC2ny7r.net
    勝負は勝つつもりでやらねばな
    48 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:52:34.373 ID:S/sr4XX30.net
    ……

    街中にて、スポーツ紙を読む女。

    『勝率99%有言実行、新チャンピオン誕生!』

    女「ヒヒ、よかったわねえ」

    女「大きなこといって自分の逃げ道をなくすってのも、時にはいい方向に働くもんなのよ」

    少年「…………」カチカチッ

    女「あらあんた、面白そうなゲームやってるわね。ちょっと貸してよ」

    少年「いいよ!」

    女「ありがと。あんたきっといい男になるわよ」
    49 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:54:29.848 ID:S/sr4XX30.net
    ズガガーンッ!

    女「あれえ!? なんでよぉ! 命中率99%なのに外れて、あたしが負けちゃったわ!」

    少年「甘いなぁ。ゲームの99%なんて全く当てにならないよ」

    女「クキーッ!」







    ― おわり ―
    50 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 22:58:17.374 ID:S/sr4XX30.net
    第三話『脇役に……』



    女優(スターになるのを夢見て上京して、もう何年になるか……)

    女優(貰える役は通行人とか脇役ばかり……)

    女優(もう諦めて、他の道を探した方が……)

    女優「ん?」

    女優「なんですか? 私に何か御用?」
    51 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:01:26.737 ID:S/sr4XX30.net
    ― 会社 ―

    休憩室でテレビを見る二人。

    後輩「あ、女優の○×がゲストですよ」

    男「この子女優にありがちなお高くとまったところがなくて、結構好きなんだよね」

    後輩「んなこといってると、せっかくできた彼女さんに怒られますよ?」

    男「平気だよ。彼女そういうこと気にするタイプじゃないし」

    後輩「分かんないですよ〜。気にしないタイプのようで、実はメッチャ嫉妬深いなんてありますから」

    男「経験則か?」

    後輩「まあ……そんなようなものです」
    52 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:04:24.682 ID:S/sr4XX30.net
    男「だけどこの子もいきなりブレイクしたよな」

    後輩「ええ、あるドラマで一言しか台詞がない銀行員の役が『いい笑顔だ』ってバズって……」

    男「バズって?」

    後輩「バズるってのは“話題になる”みたいな意味ですよ」

    男「チョイ役で注目されて、今やあちこちのドラマに出るようになったわけか。
      絵に描いたようなサクセスストーリーだな」

    後輩「元々実力はあったけど埋もれてたタイプみたいですけどね。こういうことってあるんですねえ」

    テレビに視線を戻す。
    53 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:07:30.747 ID:S/sr4XX30.net
    司会『大変ご多忙の中、お越し下さりありがとうございます』

    女優『いえいえ、呼んで頂けて嬉しいです。
       脇役専門だったところに急にスポットライトが当たったので、戸惑ってる部分もありますけど』

    女優『しかし初心は忘れず、仕事に取り組みたいと思っています』

    司会『現場でもスタッフの方々に常に気を使ってらっしゃるとか』



    男「…………」

    男「そういやさ、映画とかで“脇役にスポットライトが当たる”ってのも一種の死亡フラグだよな?」

    後輩「ああ、ありますね。急に脇役の話が始まったと思ったら、すぐ死んじゃうっていう……
       なんでいきなりそんな話を?」

    男「あ、いや……なんでだろ……」
     (ふとあの女のことを思い出してしまった……)
    54 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:10:27.706 ID:S/sr4XX30.net
    司会『ブレイクのきっかけはドラマの銀行員役だったわけですが、
       その他になにかご自身の考えるきっかけのようなものってありますか?』

    女優『はい、あのドラマの出演前に不思議な女性と出会って……』

    司会『不思議な女性?』

    女優『あの出会いが私の運命を変えてくれたのかな、と思ってます』



    後輩「なんでしょうね。いい占い師にでも出会ったのかな」

    男「…………」
    55 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:12:37.142 ID:S/sr4XX30.net
    女優『その人にご迷惑がかかるかもしれないので、詳しくは話せないんですけど、
       卑屈になってた私の意識を変えてくれたというか……』

    司会『どのような女性だったのですか?』

    女優『ちょっと……モノマネしてみますね』

    司会『おおっ、モノマネ! それではどうぞ!』



    後輩「モノマネですって! 人気女優のモノマネなんてレアですよ!」

    男「…………」
    56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:14:39.899 ID:S/sr4XX30.net
    女優『ヒヒ、あんた幸薄そうな顔してるわねえ。
       そんなんじゃ演技してたら、縁起でもないことが起こりそう!』

    女優『こんな感じでした!』

    司会『それは……変わった女性ですね』



    男「…………!」

    後輩「どうしました?」

    男「いや……何でもない」

    男(彼女もまた、死亡フラグで得たチャンスを掴み取ったんだな)







    ― おわり ―
    57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:18:25.825 ID:S/sr4XX30.net
    第四話『回想』



    ― 大学 ―

    教授「レポート忘れた?」

    青年「書き上げたんですけど、つい……」

    教授「まったく……明日中に持ってくること! ただし追加の課題を出しておく!」

    青年「はい……」



    ― バイト先 ―

    店長「こんな初歩的なミスしてくれちゃ困るんだよ。ここ入ってもうどのぐらいになる?」

    青年「七ヶ月です。時が経つのって早いですね」

    店長「なにしみじみ語ってるんだ! 進歩のなさを反省するところだろう!」

    青年「すみません……!」
    58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:21:20.755 ID:S/sr4XX30.net
    青年「ふぅ……」

    女「冴えない奴はーっけん!」

    青年「なんですか、あなたは……」

    女「あたし? あんたみたいな死亡フラグ立ってる奴を助けたくなるおせっかい焼き!」

    青年「はぁ……」

    女「返事も冴えないわねえ。返事してんのかため息ついてんのか分かりゃしない」

    青年「すみません……」

    女「まぁいいや、あたしの話を聞いてちょうだいな」
    59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:24:20.760 ID:S/sr4XX30.net
    ……

    青年「≪フラグボール≫?」

    女「ええ、一万円で売ってあげる!」

    青年「うーん……」

    女「絶対損はしないわよぉ。これ詐欺師の常套句だけどさ」

    青年「一万は冒険だなぁ……」

    女「たまにゃ冒険ぐらいしなさいな! どうするの、買うの!? 購入するの!? どっち!?」

    青年「わ、分かりました……買いますよ」

    女「押しに弱いと話が早くて助かるわ。毎度ありぃ」
    60 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:27:28.319 ID:S/sr4XX30.net
    数日後、青年はまたもやらかしていた。

    青年「あああああ……!」

    青年「やってしまった……どうしよう……」

    青年(こういう時、僕ってついてないから絶対最悪の結末になるんだ……)

    パァンッ!

    青年「うわっ!?」

    青年(フラグボールが……弾けた……!?)

    青年「!」ハッ

    青年(頭の中に――)
    61 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:29:25.881 ID:S/sr4XX30.net
    赤ん坊『だぁ、だぁ、だぁ』

    赤ん坊『ばぶ、ばぶ、ばぶ』

    青年「…………!?」

    青年(これは……赤ちゃんの頃の僕!?)



    園児『ヒーローがんばれー!』

    園児『まけるなー!』

    青年(幼稚園の頃の僕かな。ヒーローを一生懸命応援してる)
    62 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:32:30.682 ID:S/sr4XX30.net
    小学生『セリヌンティウス、待っていろー! うわっ!』ズテンッ

    青年(小学生の頃だ。走れメロスのメロス役をやったっけ……思い切り転んだけど)



    中学生『ボールどこだー?』

    青年(中学の時、僕は野球部だった。三年間球拾いだったけど、精一杯やったよな)



    高校生『付き合って下さい!』

    女子『ごめんなさい……』

    青年(高校の時の僕。フラれたなぁ……一週間はまともにご飯食べれなかった)

    青年(なんで僕はいきなり昔のことを思い出してるんだ?)

    青年(これってもしかして……死亡フラグ?
       走馬灯のような回想シーンの後、死んじゃうキャラクターって結構いるもんな)

    青年(そうか、僕は死んじゃうのか……)
    63 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:35:23.956 ID:S/sr4XX30.net
    青年『ひいい……お腹痛い……!』タタタッ

    バタンッ!

    青年(これは今日の僕だ……ついに回想が終わる時が来たか)

    青年(きっと回想が終わったら、僕死ぬんだろうな)



    青年『和式か……このままじゃやりにくいな。財布……この棚に置いちゃえ』サッ

    青年「あーっ!!!」
    64 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:37:44.807 ID:S/sr4XX30.net
    ― 公衆トイレ ―

    青年「あったー!」

    青年「よかったぁ……紛失物が見つかるなんて生まれて初めてかも!」

    青年(まさか、“財布をどこに失くしたのか”を思い出すための回想シーンだったなんて……
       こんなしょうもないことのための回想シーンが今まであっただろうか)

    青年「だけど……見つかってよかった……! なくしたらまずいカード類も入ってたし……!」

    青年(それに自分の人生を振り返ったら、自分だって意外と頑張ってるなってことが分かった……。
       もっと自分に自信を持って、しっかりした大人になろう!)







    ― おわり ―
    65 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:39:01.969 ID:FPfC2ny7r.net
    こういう軽いのもいいな
    66 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:41:04.837 ID:S/sr4XX30.net
    第五話『やったか!?』



    ― 自宅 ―

    夫「ただいまー」

    妻「…………」

    夫「飯は?」

    妻「そこ」

    夫「そうか」

    高校生の娘が通りがかる。

    夫「おお、いたのか。元気でやってるか?」

    娘「普通」プイッ

    夫「ハハ……」

    レトルト食品を一人寂しく食す。
    67 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:44:17.998 ID:S/sr4XX30.net
    夫「行ってきまーす」

    妻「はいはい」

    夫「しっかり勉強しろよ」

    娘「ふん」

    夫(二人ともこっちを見もしない……)

    家を出てから――

    夫「なんだ二人して! 私は一家のあるじだぞ!
      そりゃあ高給取りとはいえないが、誰のおかげで食えてると思ってるんだ!」

    夫「……はぁ。これを面と向かっていえないのが情けない」
    68 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:47:21.369 ID:S/sr4XX30.net
    帰り道――

    夫(帰りが憂鬱だ……。あんな家に帰ったって……)

    女「あらぁ、不幸がスーツ着て歩いてるようなおじさん見つけた」

    夫「え?」

    女「あんた、近いうちひどい災難にあうわよ。あたし、なんとなく分かるの。
      ようするに、死亡フラグ立ってるってやつ」

    夫「死亡フラグ……?」

    女「だけど、あたしと出会ったからにはもう安心!」

    夫(宗教の勧誘か……?)
    69 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:50:24.817 ID:S/sr4XX30.net
    夫「≪フラグボール≫……?」

    女「そう、今ならたったの一万円!」

    夫「買うよ」

    女「あら即決! 珍しい!」

    夫「自分でも驚いてるよ。たまにはこういう買い物もいいだろう」

    女「毎度ありぃ」

    スタスタ…

    夫(なんでこんなもの買っちゃったんだろう……)

    家庭に居場所がなく、無駄遣いすらめったにしない彼なりの、
    家族あるいは自分自身に対するささやかな反逆だったのかもしれない。
    70 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:53:18.489 ID:S/sr4XX30.net
    ― 会社 ―

    同僚「最近放火が多いよなぁ」

    夫「放火?」

    同僚「ああ、今月だけでもう五件。手口からして同一犯なのは間違いなし。
       警察は何やってんだろうな」

    夫「放火……か」

    同僚「放火は最低の犯罪だからな。江戸時代だったら市中引き回しの上、火あぶりだし。
       とっとと捕まえて欲しいよ」

    夫「いっそウチなんか燃やしてくれればいいのに」ボソッ

    同僚「今なんかいったか?」

    夫「いや……」
    71 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:56:31.236 ID:S/sr4XX30.net
    夫「ただいまー」

    妻「…………」

    夫「飯は?」

    妻「そこ」

    いつものようにレトルト食品を食す。

    夫「ごちそうさま」

    夫(娘とも、もうまともに会話してない……)

    夫(こんな家、燃えちまえばいいんだ……。いっそリセットされた方がせいせいする……。
      身軽になってかえっていい人生歩めたりして……)
    72 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/11(月) 23:59:13.725 ID:S/sr4XX30.net
    ― 会社 ―

    夫(しかし、なんで私はこうして働いてるんだろうな)

    夫(本当にあいつらが嫌いならとっとと離婚でもしてしまえばいい。
      独り身ならもっと楽な仕事でも食っていけるだろうに)

    女『あんた、近いうちひどい災難にあうわよ』

    夫「…………!」ゾクッ

    夫(なぜあの女の言葉を思い出してしまうんだ? こんな時に!)

    同僚「どうした? 顔が怖いぞ?」

    夫「いや……なんでもない」
    73 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:03:44.387 ID:OElkN+820.net
    ドクン… ドクン… ドクン…

    夫(妙な胸騒ぎがする……なんなんだこれは!)

    女『あたし、なんとなく分かるの』

    女『ようするに、死亡フラグ立ってるってやつ』

    夫「…………ッ!」

    夫「課長ッ!」

    課長「な、なんだね?」

    夫「早退させて下さい……お願いします!」
    74 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:06:20.019 ID:OElkN+820.net
    胸騒ぎに従い早退し、自宅近くにたどり着く。

    ウウー… カンカンカン…

    夫(消防車の音だ……)

    夫(まさか……)

    夫(まさか――)

    夫「まさかッ!」

    タタタタタッ…

    何年ぶりか分からないほど久しぶりの全力疾走。

    胸騒ぎは的中してしまうことになる。
    75 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:09:38.680 ID:OElkN+820.net
    消防車と野次馬に囲まれ、激しい炎と煙に包まれる我が家。

    ゴォォォォォ… ゴォォォォォォ…

    夫「家が!」

    消防士「ちょっと! 危ないですよ!」ガシッ

    夫「私はこの家の主人です! 妻と娘は!?」

    消防士「外におられるという報告は受けていませんが……」

    心が黒く塗り潰される。

    夫「うわあああああああっ!」ダッ

    消防士「ダメですよ、もう間に合いませんッ!」ガシッ!

    夫「放せッ! 放してくれェッ!」
    76 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:12:09.185 ID:OElkN+820.net
    夫(やっと気づいた……どんなに邪険にされても……たとえ居場所がなくても……)

    夫(私は……妻と娘を愛してたんだ!!!)

    夫「放してくれぇっ! 私も死ぬぅ!」

    消防士「落ちついて! 落ちつくんだ!」

    夫(誰でもいい! 何でもいい! 妻と娘を救い出してくれ――!)

    その時だった。

    パァンッ!

    ≪フラグボール≫が弾ける。

    夫「やったか!?」

    消防士「え?」

    夫「あれ……? 私は何を……」
    77 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:16:01.603 ID:OElkN+820.net
    すると――

    ゴォォォォォォ…

    消防士「煙の中から誰か出てきた……!?」

    妻「あなた……」

    娘「お父さん……」

    夫「二人とも……!」

    夫「よかったぁ、無事だったか!」ガシッ

    妻「私たちがいたリビングはもう炎に包まれてダメかと思ったの。二人とも火傷もして……」

    娘「だけど、お父さんの『やったか!?』って声がかすかに聞こえた途端、体の傷がみるみる治って……。
      炎が避けるように道を開けて……」

    夫「…………?」

    夫(これはどういうことなんだ……? なぜ『やったか!?』でそうなるんだ……?)
    79 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:19:35.455 ID:eZHyLUYfr.net
    やったかはベホマだからな
    78 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:18:41.164 ID:OElkN+820.net
    夫(――いや、理由はどうでもいい。とにかく助かったんだから)

    夫「よかった……よかった……!」

    消防士「これ以上の延焼はなんとしても防ぐ! もっともっと放水しろ!」

    部下「はいっ!」





    野次馬の中、動画を撮影しつつ舌打ちする男が一人。

    放火犯「チッ……」

    放火犯(助かりやがったか……つまらねえ)

    放火犯(まぁいい。そしたらまた他の建物を燃やすだけさ。
        証拠を残さないコツは掴んだし、警察なんかにゃ絶対捕まらねえ……)
    80 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:21:45.286 ID:OElkN+820.net
    ……

    放火犯(次のターゲットは……どうするか。いっそ警察署でも狙ってみるか……。
        俺ならやろうと思えば国会だって燃やせる……)

    女「あらぁ、死亡フラグ立ってる奴はーっけん!」

    放火犯「なんだお前は……」

    女「いつもならここで死亡フラグはいかがぁするとこだけど、
      あいにくあたし、あんたみたいな奴を助ける気にはならないのよねえ」

    放火犯「わけの分からないことを……」

    女「だけど一つだけご忠告。“自信過剰”は典型的な死亡フラグよ。ヒヒ」

    放火犯「ムカつく女だ……殴られたくなきゃ消えろ!」

    女「はぁーい」
    81 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:24:27.155 ID:OElkN+820.net
    ……

    夫「燃えた家は保険で何とかなりそうだ。しばらくは弟の家で厄介になろう」

    妻「ご迷惑はかけちゃうけど……ひとまずよかったわね、あなた」

    夫「ああ、また一からやり直そう。私もはりきって仕事しなきゃな」

    娘「うん! 私も勉強頑張るよ!」

    夫「それにしてもこの記事……天罰っていうのはあるもんだな」


    『郊外の空き地で、男性の焼死体が発見された。
     可燃物の調合をしている最中、誤って自分を燃やしてしまったと思われる。
     自宅からは放火の被害に遭った家屋を撮影する動画が多数発見されており、警察は一連の放火犯と断定……』







    ― おわり ―
    82 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:28:11.175 ID:OElkN+820.net
    最終話『プロポーズ』



    ― 会社 ―

    後輩「うーん……」

    男「どうした? 虫歯か?」

    後輩「違いますよ。実は悩みがありまして」

    男「悩み?」

    後輩「それも二つも」

    男「二つもあるのか。死亡フラグ立ってるな」

    後輩「変なこといわないで下さいよ」
    84 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:30:24.003 ID:OElkN+820.net
    後輩「一つは……彼女にプロポーズする決心がつかなくて」

    男「すりゃいいじゃないか」

    後輩「先輩はしっかりしてる人だからプロポーズも出来たでしょうけど、
       僕はこの通りだらしないから、断られるんじゃないかって不安で……」

    男「んなことないよ。俺だってプロポーズの時は清水の舞台から飛び降りる気分だったよ」

    後輩「で、飛び降りた結果、今や売れっ子作家の旦那さんですもんね。羨ましい」

    男「女房の方が忙しくて、なかなか二人でゆっくりも出来ないけどな。で、もう一つは?」

    後輩「変な女から変なボールを買っちゃったんです……」

    男「変なボール?」
    85 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:33:30.027 ID:OElkN+820.net
    後輩「これなんですけど」

    見覚えのある白い玉であった。

    男「これは……!(≪死亡フラグ玉≫……!)」

    後輩「知ってるんですか?」

    男「あ、いや、卓球ボールみたいだな。で?」

    後輩「これ死亡フラグパワーとやらが詰まってる≪フラグボール≫っていうんですけど、
       こんなもん持ってて大丈夫かなぁって」

    男「ちょっと待て。今名前なんていった?」

    後輩「≪フラグボール≫ですけど」

    男「もう一回」

    後輩「だから……≪フラグボール≫」
    86 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:35:25.959 ID:OElkN+820.net
    男「ぷっ……アハハハハッ! アーッハッハッハッハッハ! アハハハッ、フヒヒッ、アハハッ!」

    後輩「なにいきなり大笑いしてるんです!?」

    男「ああ、ごめんごめん」

    後輩「ビックリしましたよ」

    男「持っておけ」

    後輩「え?」

    男「多分悪いことにはならないはず。それ……ずっと持っておけよ。俺が保証する」

    後輩「わ、分かりました……」
    88 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:39:21.467 ID:OElkN+820.net
    次の日曜日、後輩は恋人とデートをしていた。

    ― テニスコート ―

    後輩「よーし、ひと勝負しようか!」

    恋人「うん!」

    後輩「今日も僕のショットが火を吹くぜ!」

    恋人「負けないんだから!」

    後輩(この雰囲気……今日もプロポーズできずに終わりそうだな。このままずるずるいきそう……)
    89 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:42:23.730 ID:OElkN+820.net
    後輩「いくぞっ!」パシュッ!

    恋人「それっ!」パコーンッ!

    コート上でテニスボールが往復を繰り返す。
    二人のテニスの腕はほぼ互角。さわやかな時間が流れる。

    後輩「そりゃっ!」パコーンッ!

    恋人「きゃっ!」

    後輩「よっしゃ、サービスエース!」

    後輩(白熱してきたな……このゲームは頂きだ!)ポーンポーン

    パァンッ!

    後輩「!?」

    後輩(≪フラグボール≫が……破裂した!?)
    90 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:46:14.452 ID:OElkN+820.net
    後輩「この戦いが終わったら……僕、結婚するんだ!」パシュッ!

    後輩(あれ、なにを口走ってるんだ!? まるで死亡フラグみたいな台詞を――)

    パコーンッ!

    パコーンッ!

    パコーンッ!

    ラリーの応酬。

    恋人「結婚って……誰と?」

    後輩「もちろん……君とッ!」

    パコォーンッ!

    鋭いショットがコートを射抜いた。
    91 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:49:06.867 ID:OElkN+820.net
    後輩「はぁ、はぁ、はぁ……」

    後輩(負けちゃった……)

    恋人「やったー!」

    後輩(『結婚するんだ』はやっぱり負けフラグ……死亡フラグだったか)

    恋人「ところで、さっきのやつ……」

    後輩「!」

    恋人「あれって……プロポーズだよね?」

    後輩「ああ……もちろん! 戦いが終わったから、僕は君と結婚したい!」
    92 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:51:32.364 ID:OElkN+820.net
    恋人「よろしくお願いします!」

    後輩「…………!」

    後輩「あ、ありがとう! よろしく! 必ず幸せにするよ!」

    砕けた≪フラグボール≫を見て思う。

    後輩(もしかして、こいつが僕にプロポーズさせてくれたのかな……?)

    後輩(ありがとう、死亡フラグ……)

    …………

    ……
    93 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:54:23.449 ID:OElkN+820.net
    ……

    引き出物を持ち帰る若い夫婦。

    男「後輩の結婚式、よかったなー」

    眼鏡女「あなたのスピーチもなかなかだったよ」

    男「……ん?」

    ファンA「すいませーん! 女流作家の先生ですよね! 新作も面白かったです!」

    ファンB「もしよろしければサインを……」

    眼鏡女「あ、はい……」

    サインを書くと、ファンは一礼して立ち去っていった。
    94 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 00:57:41.665 ID:OElkN+820.net
    学生A「昨日のドラマ見た? 女優がますます演技上手くなって……」

    学生B「格闘技もチョー面白かったぜ。チャンピオンがKOで防衛成功だ!」

    ワイワイ…

    男「ファンがいるっていいな。俺には一人もいないもん」

    眼鏡女「あら、一人いるじゃない」

    男「どこに?」

    眼鏡女「私」

    男「あ……」

    眼鏡女「あなたのファンは私一人でいいの。他にはいらないんだから」

    男「おいおい……照れるだろ」
    96 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:00:32.163 ID:OElkN+820.net
    夫「たまにはみんなでレストランってのもいいもんだな」

    妻「こういうの何年ぶりかしら」

    娘「もうすぐ家も建つし、お祝いだー!」



    男「…………」

    男「もし子供が出来たら、ああやって食事するのもいいかも」

    眼鏡女「家族で私たちが出会ったペンションに行くのもいいかもね」

    男「また熊出てきそうで怖いなぁ」

    眼鏡女「そしたらまたあなたが助けてくれるんでしょ?」

    男「……も、もちろん」

    いまいちハリのない声で答えてしまう。
    97 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:03:58.080 ID:OElkN+820.net
    青年「まさかお会いできるなんて……。いやー、今の僕ってツイてるな〜」

    眼鏡女「えぇとこのノートにサインですね?」



    男(歩いてたら、またファンに絡まれてる。売れっ子作家も大変だな)

    女「彼女……いえ、奥さんとデートぉ?」

    男「!?」

    男「あんたは……!」

    女「お久しぶり。元気してた?」

    男「おかげさまでね。ひょっとして、また俺に死亡フラグが立ってるのか?」

    女「いいえ、今のあんたにはそういうの見えないわぁ。
      今のあんたにゃ死亡フラグなんて寄り付かないでしょ」

    男「あれから少しは成長できたってことかな」
    98 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:06:39.155 ID:OElkN+820.net
    男「ところで……」

    女「?」

    男「あの玉の名前、≪フラグボール≫に変えたんだって? 俺の案を採用してくれたんだな」

    女「!?」ギクッ

    女「ふん……たまには名前変えてみたくなっただけよ」

    男「おっ、あんたも少しは可愛らしいところあるんだな」

    女「からかわないで。離婚フラグ立ったって知らないわよぉ」

    男「そりゃ死亡フラグより怖いよ」
    99 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:07:25.065 ID:EBJJIJhS0.net
    なるほど
    100 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:09:45.669 ID:OElkN+820.net
    男「その節は世話になったよ。改めて本当にありがとう」

    女「どういたしまして。死亡フラグが役に立ったんなら本望だわぁ」

    女「死亡フラグ乗り越えたんだから、せいぜい幸せになりなさいよ」

    男「もちろん。人生の最後まで生きるのを楽しんでみせるさ!」







    ― おわり ―
    101 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:12:20.503 ID:OElkN+820.net
    ……

    女「――これで話はオシマイ」

    女「いずれ、これ見てる人と出会う日も来るかもしれないわねえ」

    女「え、あたしが何者かって?」

    女「天使? 悪魔? ただのイカれた女? それとも……“死亡フラグ”という概念が人間になった存在?」

    女「どれかが当たってるかもしれないし、どれもハズレかもしれないわねえ」

    女「だけど気をつけてねえ。“未知の存在の正体を探ろうとする”ってのも立派な死亡フラグだから」

    女「じゃあねぇ……ヒヒ」

    ……
    106 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:15:23.610 ID:EBJJIJhS0.net
    面白かった
    特に格闘家の話が
    107 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/12(火) 01:27:28.050 ID:eZHyLUYfr.net

    死亡フラグを役立てるというコンセプトが面白かった
    俺のとこにも来て

    1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:33:03.089 ID:GxBg19G/0.net
    ―駐輪場―

    男(あっ、この自転車、ちゃんと奥まで入れてないな)

    男「よっと」グイッ

    カチャッ

    男「これでちゃんと料金が加算される」

    男「おっ、こっちにもある」

    カチャッ

    男「こっちにも」

    カチャッ
    7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:39:54.349 ID:szmnpDHNr.net
    ワロタ
    4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:36:06.902 ID:GxBg19G/0.net
    男「これはひどい」

    男(五台並んで料金逃れのため、ラックにちゃんと自転車を止めてない)

    男「腕の見せ所だな!」

    カチャッ カチャッ カチャッ カチャッ カチャッ

    男「これでよし!」

    男(不正駐輪してる自転車をカチャるのは、俺の日課……いや、生きがいであった)
    5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:39:02.583 ID:GxBg19G/0.net
    ……

    男「さて、今日もカチャるとするか!」

    カチャッ カチャッ カチャッ

    男(よし、この区画の不正駐輪は全滅だ……ん?)

    カチャッ… カチャッ…

    女「……」カチャッ

    男(あの人、俺と同じことしてる――)
    6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:39:50.624 ID:84EwtQAPd.net
    暗証番号も設定すると楽しいよね
    8 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:41:11.515 ID:ztc4tx5ca.net
    >>6
    それはアウト……
    10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:42:18.055 ID:GxBg19G/0.net
    ……

    男「これで7台目……ん、バッチリ」カチャッ

    男「……ん?」

    女「……」カチャッ

    男(まただ! また同じことをしてる!)

    男(よーし、思い切って話しかけてみるか)
    11 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:45:29.658 ID:GxBg19G/0.net
    男「あの……」

    女「はい?」

    男「あなたもひょっとして不正駐輪をカチャってるんですか?」

    女「はい。もしかして、あなたも?」

    男「そうなんです。昔からの趣味で……」

    女「まぁっ、同じ趣味の人に初めてお会いしました」

    男「よかったら、この後お茶でもどうです?」

    女「はい!」
    12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:48:51.521 ID:GxBg19G/0.net
    喫茶店に入る二人。

    男「カチャった後の紅茶はまた格別ですね」

    女「あなたはどうしてカチャを?」

    男「うーんそうですね、やはりちゃんと駐輪して料金を払ってる人がいる一方で」

    男「不正駐輪でお金を払わず駐輪しようとしてる人がいる」

    男「こういう正直者がバカを見る状態を許せなかったというのがあります」

    女「分かります分かります!」

    女「やっぱり駐輪というサービスに対してきちんとお金を払わないとダメですよね!」
    13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:51:12.050 ID:GxBg19G/0.net
    女「だけど私の場合、それだけじゃなくって……」

    男「?」

    女「私は……あのカチャッて音が好きなのもあります」

    女「カチャッていうツメが閉じる時の音……たまりません!」

    男「分かります分かります!」

    男「カチャッた瞬間の、あの達成感! パズルのピースがハマった感! ヤミツキになる!」

    女「ですよね〜!」
    14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:53:02.615 ID:GxBg19G/0.net
    男「すっかり話し込んじゃった。今日は……楽しかったよ」

    女「私もです」

    男「今度会ったら……一緒にカチャれるかな?」

    女「カチャりましょう!」

    ――――

    ――
    15 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:56:52.870 ID:GxBg19G/0.net
    日曜日――

    男「お待たせ!」

    女「私も今来たところです」

    男「動きやすい服装してるね」

    女「いくつも駐輪場を回りますからね」

    男「じゃあ……カチャデート開始だ!」

    女「はいっ!」
    19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:00:51.833 ID:szmnpDHNr.net
    カチャデートとかいうパワーワード
    17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 18:59:45.590 ID:GxBg19G/0.net
    男「ここはこの辺で一番大きい駐輪場だ」

    女「その分不正駐輪してる人も多そうですね」

    男「さっそくカチャっていこう」

    女「ええ、一台も見逃しません!」

    男「……あった!」カチャッ

    女「こっちにもありました!」カチャッ
    20 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:02:09.058 ID:GxBg19G/0.net
    男「おっ、こんなところにもある」カチャッ

    女「ここにも!」カチャッ

    男「三台並んで不正駐輪か……奥義・三連カチャ!」

    カチャッ カチャッ カチャッ

    女「こっちにも二台ありました! 必殺・二連カチャ!」

    カチャッ カチャッ

    男「これでこの駐輪場の不正駐輪は全滅かな。次行こう!」

    女「はいっ!」
    21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:05:07.115 ID:GxBg19G/0.net
    男「おっ、こんなところにも不正駐輪が!」カチャッ

    女「小さな駐輪スペースは監視員さんもいないから、やられやすいんですよね」カチャッ

    男「まったく……困ったもんだ」カチャッ

    カチャッ… カチャッ… カチャッ… カチャッ…

    男「ふぅー、カチャったカチャった」

    女「とても充実した一日になりました!」



    カチャればカチャるほど、二人の仲は深まっていった……。
    22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:09:21.897 ID:GxBg19G/0.net
    学生「さて、自転車出すか……あっ! ツメが閉じてる!」

    学生「くそっ! 出せない!」ガチャガチャ

    学生「料金……200円も払うのかよ〜」



    会社員「くそっ、やられてる! ふざけんな!」ガチャガチャ



    主婦「なんで!? ちゃんと浅く停めてたのに!」ガチャガチャ
    23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:12:15.344 ID:GxBg19G/0.net
    噂が広まるのは早い……。

    「誰がこんなことやってるんだ?」

    「若い男女二人が駐輪場をうろついてるらしい……」

    「あちこちの駐輪場に出没してるみたいだ」

    「そいつらがカチャってるとこ見たぞ!」

    「このところ、浅く停めても料金発生しちゃうのはそいつらのせいだ!」

    「許せないッ!」

    ……

    ……
    25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:15:36.742 ID:GxBg19G/0.net
    男「さあ、今日も張り切ってカチャるぞ!」

    女「オーッ!」

    男「いきなり不正駐輪を発見、今日は幸先いいな。いや、よくないのか」カチャッ

    カチャッ カチャッ カチャッ

    夢中になってカチャっていると――

    リーダー「見つけたぞ」

    男「! なんだ、あんたは……」

    ズラッ…

    女「きゃっ!」

    男(覆面をつけた集団に囲まれてる! いつの間に!)
    26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:16:38.193 ID:ztc4tx5ca.net
    覆面ww
    28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:18:22.614 ID:GxBg19G/0.net
    男「お前たちは何者だ!?」

    リーダー「我々は君たちに自転車をカチャられ、無駄に料金を支払うことになってしまった者だ」

    男「なに……!?」

    リーダー「我々の要求は一つ。浅く止めた自転車をわざわざカチャるのをやめたまえ」

    男「……!」

    リーダー「二度とカチャらないと誓うなら、この駐輪場から出してやろう」

    男「断る……といったら?」
    30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:20:32.268 ID:GxBg19G/0.net
    リーダー「やれ」

    覆面A「はい」

    覆面A「オラァッ!」バキッ!

    男「ぐっ!?」

    覆面B「おっと寝るのはまだ早いぜ〜」ガシッ

    男「うぐ……」

    覆面A「もいっちょォ!」ドカッ!

    男「あぐっ!」
    31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:22:01.799 ID:vFexk3Cd0.net
    管理人何してるんだよ
    33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:23:12.491 ID:GxBg19G/0.net
    女「何するんですか!?」

    リーダー「仕方ないのだよ、お嬢さん。我々だってたかが駐輪にお金を払いたくないのでね」

    リーダー「カチャる奴には罰を与えるしかないのだ。さあ、“二度とカチャらない”といえ!」

    男「誰が……いうもんか……!」

    リーダー「強情な……もっと痛めつけろ!」

    ドカッ! バキッ! ガッ!

    男「ぐ、うう……!」
    35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:26:07.657 ID:GxBg19G/0.net
    覆面A「ハァ、ハァ、ハァ……」

    覆面B「なんて奴だ……」

    リーダー「なぜだ? 一言誓えばそれで丸く収まるのになぜ誓わない?」

    男「決まってるだろ……間違ってる奴らに従いたくないからさ!」

    リーダー「我らが間違ってる……だと……?」

    男「そうだ。お前たちがやってることはサービスの不正利用に他ならない。窃盗と同じだ!」

    リーダー「ぐっ!?」

    女「そうよ!」
    38 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:32:14.477 ID:GxBg19G/0.net
    女「あなたたち、考えたことがある?」

    女「不正駐輪のせいで本来得られる利益を逃してる駐輪場の運営者のことを!」

    女「一日ならせいぜい数百円かもしれない。だけどそれが何日も重なればものすごい額になるのよ!」

    女「そんな非道な行為を数の暴力で正当化しようだなんて……盗人猛々しいにも程があるわ!」

    リーダー「盗人……!」

    男「お前たちは“悪”だ! 俺たちには悪には屈しない!」

    リーダー「うああああっ……!」ガクッ

    ザワザワ… ドヨドヨ…
    39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:35:10.786 ID:GxBg19G/0.net
    リーダー「我らは……間違っていたのか……」

    男「分かってくれたか」

    リーダー「殴ったり蹴ったりしてすまない!」

    男「いや、いいよ。さすがに本気では殴ってなかったようだし、カチャるために鍛えてるしな」

    リーダー「我ら一同、もう二度と不正駐輪はしない! 許してくれ!」

    男「ああ、頼んだよ」

    リーダー「せめて最後に……代表である私は覆面を脱いで詫びよう」パサッ

    美女「すまなかった……」

    男「……!」ドキッ

    男「いや、いいんだよ」ニチャア

    女「ニチャらないで下さい!」
    40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:38:27.288 ID:GxBg19G/0.net
    ――

    男「こうして不正駐輪騒動は解決したけど……」

    女「あれ以来みんなちゃんと駐輪するようになって、カチャれる自転車がなくなっちゃいましたね」

    男「君と二人でデートするのはもちろん楽しい。楽しいけど」

    女「カチャがないとちょっと物足りませんね」

    男「――だけど、大丈夫!」

    女「え?」
    41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:40:19.939 ID:GxBg19G/0.net
    男「実は自宅に、ちゃんとツメのある駐輪ラックを設置したんだ」

    女「わぁっ、素敵!」

    男「これでこれからはいくらでもカチャり放題! 二人で一生カチャって生きていこう!」

    女「はいっ! 死が二人を分かつまで!」

    カチャッ カチャッ カチャッ カチャッ カチャッ カチャッ … … …







    おわり
    46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:47:37.692 ID:ZEIqynSOd.net
    >>1カチャ
    45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2021/01/08(金) 19:45:40.624 ID:szmnpDHNr.net

    こいつらあの世でもカチャるだろ

    1 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:03:27.044 ID:R/U/ekkW0.net
    桃「今度から前見て歩いて」

    しまむら「うん、ごめんなさい。けどそっちこそ大丈夫?
    なんか、片手でダンプ止めてた気がするけど、さすがに気のせいかな」

    桃「別に。魔法少女やってるから平気。それに前もこんなこと
    あったからなんてことない」

    しまむら「ふーん、そうなんだ…、て、あれ?安達」

    安達「……しまむら。誰なのその子…」
    6 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:18:55.186 ID:+MmPAToa0.net
    同じ声で会話してる……
    2 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:04:18.507 ID:R/U/ekkW0.net
    しまむら「ああ、こちら千代田桃さん。さっきダンプにひかれそうになった私を
    助けてくれたんだ、同じ高1らしいよ」

    安達「だ、ダンプって!?けがはないの、しまむらっ」

    しまむら「うん、だから助けてもらったからケガないんだって。
    ほんとありがとうね、桃さん」

    安達「(し、しまむらっ!?し、下の名前でこの子のことっ!?)」

    桃「しまむらだっけ?別に。お礼はいらないから」
    3 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:06:54.844 ID:t5fT6puiM.net
    もんもまたダンプ止めてる
    4 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:11:02.140 ID:R/U/ekkW0.net
    しまむら「えー、けど」

    桃「それより私、これから用事あるからいかないと、それじゃ」

    しまむら「あ、ちょ、ちょっとまって」

    安達「し、しまむらっ!もういいから、早く行こうっ、あの子もいいって言ってるしっ」

    しまむら「え、いやけど安達。せっかく助けてもらったのにさ。
    それに桃さんって、なんか聞き覚えあって落ち着く声してるし、なんとなくもう少し話聞いてみたいというか」

    安達「(!!??あのしまむらがそんなこというなんてっ!)」

    安達「な、何言ってるししまむらっ、別に聞き覚えある声じゃないしっ!それに絶対あやしいよっ!」

    しまむら「えー、なにが?」

    安達「だって、冬にあんなへんなコスプレみたいな格好してっ!絶対かかわったら
    だめなやつだって」

    桃「」ぴくっ
    5 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:16:44.433 ID:R/U/ekkW0.net
    桃「そこの青い髪のひと。安達さん?っていうんだっけ?
    一応言っておくけどこれはコスプレじゃなくてこれはしまむらを助けるために魔法少女の恰好だから」

    安達「ま、魔法少女…!?なに…それ」

    桃「っていうか、そんなこと安達さんに言われたくないかな。
    そっちこそ、この冬にチャイナ服の恰好して、コスプレ少女はそっちのほうじゃないのかな


    安達「!!??な、…そ…」
    7 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:20:46.734 ID:R/U/ekkW0.net
    しまむら「ん?そういえば安達。またクリスマスみたくチャイナ服着てきたの?
    どうして?」

    安達「や…、そ、それは…、だって…しまむらが、可愛いって言ってくれた服だから」ごにょごにょ

    しまむら「ん?てか、そういえば上着は?クリスマスのときは一応、チャイナ服のうえに
    上着きてたのに?今日は上着来てないじゃん?寒くないの?」

    安達「いや…寒いけど、これには事情があって」ごにょごにょ

    桃「…まー、別にいいけど。わたし、そろそろ行くね。これから用事があるから」

    シャミ子「あ、あー、いたいた、いましたっ!ええっと、確か、…安達さんっ」

    安達「…え?」
    9 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:27:04.012 ID:R/U/ekkW0.net
    桃「え?」

    安達「あれ…、君は確かさっきの」

    シャミ子「ええ、さっきはありがとうございましたっ、おかげ様で
    元の恰好に戻れたんで、上着をお返しに来ましたっ!」

    シャミ子「ホントにありがとうございましたっ」
    10 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:29:25.875 ID:R/U/ekkW0.net
    安達「ああ、そうなんだ…、もとの服がみつかってよかったね」

    シャミ子「ええ、けど、なんてお礼を言ったらいいか…!」

    安達「いや…別にお礼とかはいいけど」

    しまむら「おやー、どうしたの、安達。ひょっとして上着はこの子に
    貸してあげてたの?どして?」

    安達「いや、これはその、大した話じゃなくて…」

    桃「………え?え?シャミ子…え?」

    シャミ子「あれ?桃、なんでこんなところにいるんですか?」

    桃「いや…だって…、今日は河川敷で…、シャミ子と筋トレする約束だったから
    そっちに向かって…、や…そんなことより」

    桃「………シャミ子…、そこにいる安達さんと、どういう関係なの…?」
    12 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:33:18.353 ID:R/U/ekkW0.net
    回想

    安達「やばい、早く行かないと遅刻しちゃう…、せっかく久しぶりにしまむらとの
    デートなのに」

    安達「…クリスマスと同じチャイナ服着てきちゃったけど、しまむら、また
    可愛いってほめてくれるかな…ふふ…ん?」

    シャミ子「ひぐっ…えぐっ…」

    シャミ子「ど、どうしましょう…こんな公衆の面前で…危機管理フォームから
    元にもどれなくなってしまいました…、これじゃ私、完全に町の変質者…えぐ、えぐ」

    安達「……」
    13 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:41:18.016 ID:R/U/ekkW0.net
    安達「(なんか電柱の影でものすごい露出度の高い服着て泣いてる子がいるけど…、
    普通にスルーしておこう…、しまむら待ってるし)」

    社「おやおや、見て見ぬふりしていいんですか、安達さん、薄情ですね」

    安達「!?え…、い、いつの間にっ」

    社「あそこの方、この辺じゃ珍しいまぞくの方みたいですけど…
    周りにどーほーもいなくて困ってる様子ですよ?見て見ぬふりしていいんですかね」

    安達「え?まぞくってなに…、っていうかしまむらが待ってるし…、私は別に…、」

    ……

    シャミ子「ふぐ…えぐ…、いったいどうしたら…え?」

    安達「ええっとその…、良かったら、この上着…着る?私は、急いでるから
    もう行くけど」
    14 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:45:24.299 ID:R/U/ekkW0.net
    シャミ子「っていう感じで、安達さんは、危機管理フォームの状態から戻れなくなってた
    変質者状態の私にやさしく声をかけてくれたんですよっ!」

    シャミ子「それも自分が着ていた上着を差し出してくれてっ!本当に助かりましたっ!
    上着はお返ししますねっ!それと何かお礼を…」

    安達「え?いや…別にいいよ…私は、これからしまむらとデー…、遊ぶ予定が」

    しまむら「ほうほう、安達が見ず知らずの人に手を差し伸べるなんて珍しいな…」

    桃「……………」
    16 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:50:50.793 ID:R/U/ekkW0.net
    桃「へ、へえ…、そ、そうなんだ。けどシャミ子。上着を貸してもらったくらいで
    大袈裟なんじゃあ…、それより早く私と河川敷で特訓を」

    シャミ子「この寒空の下、変質者まがいの恰好をした私を助けてくれるなんて、
    安達さんはホント、良い人ですっ」

    安達「え、いやわたしはべつに…」

    シャミ子「それになんていうか…、安達さんって、なんとなく安心するというか、
    なんとなく、聞き覚えのある、優しい声してますよねっ!まぞくの心には
    安達さんの優しい声のトーン、…ピーンと響きましたっ」

    桃「!!!??は、はあ!?しゃ、シャミ子っ、な、なに言ってんの!?」
    17 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 22:59:47.383 ID:R/U/ekkW0.net
    安達「え…?声って…、そんなこと言われたの初めてだけど」

    桃「いやいやいやいやいや…、な、なに言ってんのシャミ子?安達の声なんて別にフツーだしっ!
    ちょっと暗めのトーンな声なだけだよっ、それより早く行こうっ」

    しまむら「ほほう、声ね。そこのシャミ子ちゃんって声は安達の声が琴線に響くのかあ…
    けど、わかるなあ…わたしもちょうどいま、桃さんの声がなんとなく心に響くというか、そんな
    感じしたからなあ」

    安達「!?…いやだからしまむらっ!それは単に気のせいだからっ!ちょっと暗めな
    トーンな声なだけじゃんっ!別に心に響く声とかなんでもないからっ!ほらっいこうっ」
    19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2020/12/28(月) 23:10:13.386 ID:R/U/ekkW0.net
    しまむら「ああ、はいはい。わかったから、ひっぱらないでしょ安達。
    あーそうか、わたしわかっちゃったな。桃さんの声、どこかで聞いたことある
    声だとおもったら、」

    安達「ああもうっ、もうあの子の話はもういいからっ!はやく行こうしまむら」

    しまむら「えー?」

    ……

    桃「ほらっ、シャミ子。もう行くよっ」

    シャミ子「あ、ま、待ってください桃っ、安達さんにもう少しお礼を…っておもってたら
    もう行っちゃいました…」

    シャミ子「あ、そっか…、桃っ、わたし気づいちゃったんですけど。さっきの安達さんって
    声が桃に…、てあれ?桃、なんでもうすでに魔法少女の恰好になってるんです?」

    桃「別に…なんでもないよ、
    シャミ子をこれから特訓でしごくつもりだったから、あらかじめ変身してただけだよ」

    シャミ子「な、なんですかそれ!」

    桃「…今夜は、スクワット100回できるまで返さないよシャミ子」

    シャミ子「か、返してっ、おうちにかえしてええ!!」



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